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7月14日のまにら新聞から

救出部隊の新設を

[ 707字|2008.7.14|社会 (society)|新聞論調 ]

誘拐事件への国軍対応

 比と南米コロンビアは、国内で活動する反政府武装ゲリラによる誘拐事件への対応に頭を痛めているとの共通点がある。七月二日、コロンビアから世界をあっと言わせるニュースが流れた。左翼ゲリラ、コロンビア革命軍(FARC)に誘拐されていた人質十五人が、同国軍特殊部隊により無事救出されたからだ。この中には約六年ぶりに自由の身となった元大統領選の女性候補、イングリド・ベタンコートさん(46)も含まれ、世界は同部隊の勇敢で手際のよい救出劇をこぞって賞賛した。

 ベタンコートさんは二〇〇二年二月の選挙キャンペーン中、FARCにより誘拐された。フランス政府は同国籍も持つ彼女の早期解放に力を入れ、今回の救出でも手を貸した。同部隊は隊員をFARC内に潜入させ、米軍の協力を得て情報を収集、一発の銃弾も使わず救出に成功。身代金の支払いはなかった。

 この国でも最近、女性キャスターらの民放大手テレビ局員三人と大学教授一人の計四人がイスラム過激派、アブサヤフに誘拐されたばかり。比国軍はコロンビアと同じように、秘密部隊を出動させ、人質救出作戦の実行を検討したのだろうか。四人は結局、最初に身代金五百万ペソ、さらに千五百万ペソを支払うことで解放されたとみられる。

 政府・国軍は大量の人員と巨額の予算を投入しているが、装備不足の国軍は、わずか数百人の勢力とされるアブサヤフにてこずり、目立った成果を挙げていない。誘拐事件に屈しないためにも、政府は予算をけちらず、最新兵器・情報機器を装備した国軍救出部隊を新設すべきだ。政府の確固たる支援に加え最新装備があれば、勇気と愛国心を持つ国軍兵士は必ず期待に応えてくれる。(9日・タイムズ)

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