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7月14日のまにら新聞から

資金の流用狙い

[ 720字|2008.7.14|社会 (society)|新聞論調 ]

ネリ氏のSSS異動

 前国家経済開発長官のロムロ・ネリ氏は、社会保険機構(SSS)総裁への就任がアロヨ大統領からの贈り物とする批判に素早く反論した。確かにそれは贈り物ではなく、彼が国家ブロードバンド網構築事業における大統領の不正関与について口を閉ざしていたことへの報奨だろう。ネリ氏は要職を手にし、大統領は同事業不正の中心人物と名指しされることへの不安から解き放たれ平穏を得た。

 就任後、前任者のデラパス前SSS総裁は、会員らに「基金が会員のためにのみ利用されることを常に確かめるように」と警戒を呼び掛けた。SSSは、二千三百四十億ペソもの資金を抱えている。世論は、大統領がこの資金をばらまき政策の財源にしようと企んでいるとみている。前総裁が資金流用に反発したため、辞任(解任?)したとしても驚きはしない。

 現国防長官の父であるテオドロ元SSS総裁は、ショックを受けることだろう。彼は、マルコス政権下にSSSの全資金を開発銀行の長期債券にして守り、流失を完全に防いだ。それは、SSS資金の流用を防ぐための彼の手法だった。SSSがマルコス大統領失脚後も存続できたのは、これらの理由からだった。テオドロ元総裁は、盗人でもなく、その共犯でもなかった。

  現政権によるSSS資金利用に向けた土台作りは、SSS総裁を閣僚レベルに引き上げ、社会福祉に関する閣僚グループの長に仕立て上げることから始まった。SSS資金の吸い上げ体制を完成させるまでにそう長くはかからないだろう。ネリ氏自身は欲深い人間ではないかもしれない。しかしながら、ブロードバンド事業では勇気が足りなかった。彼が、SSS資金の流用に抵抗できる術を身に着けられるとは考えにくい。(11日・マラヤ)

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