出よ新リーダー
マグサイサイ大統領命日
最近の学生たちの抗議集会を見て、五十年前の学生時代を思い出した。当時、高校生だった私は一九五〇年代の社会的、政治的問題と向き合っていた。現在と当時を比べると、問題に類似点、相違点がいくつかある。
当時も選挙不正や買票行為、汚職問題やテロリズムなど現在と変わらない問題が存在していた。選挙不正では、現在の不正は当時より一層規模が大きく、そして組織的に行われている。汚職についても同様だ。違いはと言えば、現在の方がトップから底辺まで、よりどん欲に、またより頻繁に起きていることだろう。
しかし、当時の若者たちの間では街頭で抗議行動に出なくとも良い政府に変わるのではないか、という期待を持つことができた。それは自分たちの中からラモン・マグサイサイという本物で、かつ、カリスマを持ったリーダーが出現したからだった。五三年の大統領選で彼は持ち前のシンプルで謙そんさにあふれた人柄で多くの老若男女をひきつけ、名声を確立し十分な資金を持っていた対抗馬を破って当選したのだ。
マグサイサイは当選するとすぐに公務員の守るべき指針である十項目の「信条」を制定し、人々により良い政府への改革に向けた望みをもたらした。その中身は例えば次のようになっている。(一)政府は国民に作られ、その福祉のために存在する(二)持たざる者こそ法で守るべし(十)大統領は寛大な心と正直な精神、健全な直感と、一般人への愛情を持つ手本となれ。
五十一年前の三月十七日、マグサイサイ大統領は飛行機事故で死亡した。その後、国民は彼の再来となるリーダーを探し続けている。(17日・スター、ホセ・シソン氏)