今こそ汚職撲滅を
満身創痍のアロヨ政権
香港のコンサルタント会社が行った「アジア汚職調査」で、フィリピンが対象国・地域中「最も汚職がまん延する国」とされた。調査はミャンマーとバングラデシュを除くアジアの十三カ国・地域で活動しているビジネスマン約千四百人を対象に実施された。
それによると、最悪が「一〇」、最良が「〇」で、比は対象国・地域で最も悪い「九」と格付けされた。ここ数年、比では肥料調達、高速道路建設、選挙用コンピューター購入︱︱などに絡む巨額の汚職疑惑が表面化し、その大部分に大統領府が関係していたと暴露された。
二〇〇七年に入ってからは、大統領府内で国会議員や州知事らに現金が配られるという不祥事も明るみに出て、反アロヨ勢力からの格好の攻撃材料とされた。続いて浮上したのが、中国企業が関与したブロードバンド網(NBN)構築事業をめぐる不正受発注疑惑で、事業費の極端な上乗せや不正行為の隠ぺい工作などが暴露された。
不正の存在を明かした一人が政府高官だったことにも注目が集まった。この結果、アロヨ政権は「満身創痍(そうい)」に陥り、政権崩壊の可能性まで出ている。そこで政権側が打った手が、高官たちの口を封じることだった。
一方、アジア開発銀行(ADB)も最近、汚職まん延、インフラ不整備、徴税不足などが原因で、比の経済開発は周辺のアジア諸国から大きく遅れを取っているとの報告書を発表した。
さらに、国家統計局の貧困調査で、貧困層が拡大しているとの結果も公表されたほか、比をめぐる各種調査は悲観的な内容ばかりとなっている。アロヨ政権は今こそ、「政府は汚職撲滅に全力で当たるべきだ」とするカトリック司教協議会の忠告に耳を傾けるべきだ。(12日・タイムズ)