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3月17日のまにら新聞から

契約・公文書の公開を

[ 702字|2008.3.17|社会 (society)|新聞論調 ]

透明性欠く現政権

 政府は何も隠すことはないと強く主張するが、あまりにも多くの公文書が紛失し、重要情報を持つ政府高官に対する口封じが行われている。ブロードバンド網(NBN)構築事業で中国企業、中興通信(ZTE)との契約は破棄され、同事業に関係したとされるアバロス中央選管委員長は辞職を余儀なくされた。にもかかわらず、アロヨ大統領が立ち会って中国で調印された同事業の契約書は公表されていない。

 国民から徴収した税金で実施される大規模事業の契約書コピーが保存されていないのも奇妙な話で、その上に関係高官らの発言も禁じられたままだ。そうした中で新たに浮上しているのが、中国政府と交わした南シナ海南沙(比名カラヤアン)諸島での海洋資源調査合意の存在。反政府勢力は中国政府が同合意に基づき、二〇一〇年までの対比支援(年間二十億ドル)供与を約束したのではないかと不信感を強めている。 

 政府は、同合意はあくまでも資源調査に限定され、もし石油資源が発見された場合には、その開発に向けた新たな合意が必要と弁明している。

 中国およびベトナムと交わした同合意が政府の主張通りの内容であるなら、合意文書を直ちに公表し、議会などが内容の精査や調査対象海域の特定などを行えるようにすべきだ。 

 これについてエルミタ官房長官は最近、「合意文書を適切な時期に公表する」と発言した。では、その「適切な時期」はいつになるのか。アロヨ大統領の任期が切れる「一〇年六月三十日の午後」なのだろうか。あるいは、不正疑惑の審理を行う最高裁判所の最終判断が出た後なのだろうか。現政権が口にする「透明性」とは、しょせんそんなものなのだ。(14日・スター)

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