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12月17日のまにら新聞から

農地問題の解決を

[ 700字|2007.12.17|社会 (society)|新聞論調 ]

ブキドノン農民の大行進

 ミンダナオ島ブキドノン州スミラオ町の農民たちが自分たちの先祖以来の土地における農地改革の実施を求めマニラまではるかな距離を行進してきた。しかし、農民たちの問題意識と大統領府の判断との間には、彼らが二カ月をかけて歩いてきた千七百キロの距離よりも大きな亀裂が横たわっていた。

 ヨーロッパを歴訪中だったアロヨ大統領は、この状況が大きな爆発を引き起こす可能性を秘めていると考え、国内に残った閣僚らに対し「行進する農民たちの扱いには十分に注意するように」という指示を出したと先日、ゴンザレス法務長官が明らかにした。そしてついにこの農民たちが大統領府の玄関前にまで行進してきた時、彼らはそれ以上進むことを阻まれた。エルミタ官房長官は彼らと会おうとせず、他の高官を差し向けることもしなかった。無視したのである。

 その二日前にも官房長官は「ケソン市の農地改革省前に行けばいつでも(ピケを張っている)彼らに会うことはできる。彼らは行進を見せ物にしたいのだ」と残酷にも切り捨てた。スミラオ町の農民たちは十月十日以来、抗議の行進を続け、不正義の実態を告発したが、官僚組織はそれを無視した。

 官房長官は農民たちと大統領府前で会うことは危険な前例を作ることだと考えたのだろうか。ハンガーストライキや訴訟、五年間に及ぶ事態の放置、サンミゲル社による係争地の買収、そして二カ月間にわたる抗議の行進。これらはまさに前例のないだましと裏切り、そして苦難以外の何ものでもない。

 欧州訪問から帰国したわれらが民主主義のチャンピオンである大統領が、手腕を発揮してくれることを期待するのみだ。 (10日・インクワイアラー)

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