アブ掃討を続けよ
拉致・首切断事件
最高指導者カダフィ・ジャンジャラニ容疑者を失ったイスラム過激派、アブサヤフが再び姿を現した。アブサヤフは十五日、ミンダナオ地方スルー州パラン町で建設作業員ら計七人を拉致。続いて十九日、解放条件として提示していた身代金五百万ペソが納められなかったため、七人の首を切断した。頭部のうち二つは陸軍第三三歩兵大隊駐屯地、残りはパラン町にある同本部前に置かれた。
アブサヤフの戦術の特徴は狙いやすい相手を対象にした残虐行為。カトリック教会の爆破、公設市場の焼き打ち事件を引き起こしているほか、聖職者、修道女、教師を誘拐・拷問した上、殺害した事件。こうした非人道行為が今後も続くのかは誰も予想できない。明らかなのは、この組織が貧困、無知、法の不在という条件下で拡大してきたこと。
政府はここ数カ月、最貧困州の一つ、スルー州において、インフラ整備と治安回復を進めた。並行して、国軍はアブサヤフ掃討を展開、ジャンジャラニ容疑者と後継者となったスライマン容疑者を殺害した。
それでもアブサヤフは生き残った。手助けしたのはイスラム急進派、モロ・イスラム解放戦線(MILF)、イスラム最大勢力、モロ民族解放戦線(MNLF)の両分派グループ。MNLF分派グループはこのほど国軍基地を襲撃し、同主流派から「除名」された。その後、同分派グループはスルー州を転々としながら、アブサヤフを巧みに操縦しているとされる。
今回の拉致・首切り落とし事件はスルー州発展計画の勢いを再度妨げた。アブサヤフの殺害手段は残虐極まる。アブサヤフからの脅威を取り除くため、政府は国軍の掃討作戦継続を支持すべきだ。(21日・スター)