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4月9日のまにら新聞から

ゆがんだ目立ちたがり屋

[ 685字|2007.4.9|社会 (society)|新聞論調 ]

園児人質事件

 保育園児バスジャック事件に対しては様々な反応があるだろう。犯人が訴えた貧困層への教育実施の必要性や政治家の汚職問題などの妥当性に同情するのもその一つだ。バスの中に十時間も監禁された園児やその親たちはドゥカット容疑者と共犯者を非難するどころか、自分たちの問題に関心を寄せてくれる良い人間だとすら言っている。

 警察は選挙期間中の銃刀法違反、児童監禁罪などで終身刑を科すことになると警告した。ドゥカット容疑者自身もいかなる刑罰も受け入れる準備があると表明した。しかし、彼がこれまでに見せた法律無視の姿勢や、著名政治家との交友関係を考慮に入れると、決して安心できない。

 特に驚かされるのが、同容疑者がこれまでに、何度も危険人物とレッテルを張られても不思議ではない愚かな行為を繰り返しながらも、一般社会に復帰している点だ。彼は一九八九年に自分の建設会社に費用を支払っていないとしてマニラ市サンタクルスの司祭二人を人質に取ったことがあるほか、その六年後には中国系フィリピン人立候補者へのボイコットを呼び掛けて首都圏マニラ、ケソン両市の境にあるロトンダ広場の記念碑の頂上でハンストを行った。さらにその六年後にも韓国系企業をゆすったとして国税局職員二人を市民身分で「現行犯逮捕」したのだ。

 マニラ市長選に立候補しているリム上院議員は同容疑者がインタビューを受けるのをただ楽しんでいるだけと指摘。確かに彼の起こした事件は国内外メディアの注目を浴びた。彼のゆがんだ思想に世間の注目を集められれば、終身刑を受けても問題ではないのだろう。(3月30日・インクワイアラー、リナ・ダビッド)

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