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2月19日のまにら新聞から

節操欠く候補者たち

[ 700字|2007.2.19|社会 (society)|新聞論調 ]

明確な争点欠く統一選挙

 五月十四日に実施される今回の統一選挙は、有権者泣かせとなりそうだ。与野党間に明確な争点がないからだ。強いて与野党間に違いがあるとすれば、それは「親アロヨ大統領」と「反アロヨ大統領」の二点だけ。しかし、それとても、候補者やその身内らが両陣営内に入り乱れ、与野党間に明確な線を引くのは難しい。

 選挙戦開始を前に与野党とも、相手陣営をけ落としてでも選挙に勝ちたいとの一念から、互いへの中傷合戦を展開した。そこには重要課題への取り組み姿勢はみじんもない。エストラダ前大統領を弾劾した政治家が、今は前大統領を支持した現野党陣営にくら替えしている。こうした節操を欠いた候補者たちを抱えながらも、両陣営が唱える「統一」はまさに「絵に描いた餅」だ。

 こうした理解に苦しむ状況が生まれるのはこの国が抱える政治制度の弱点が露呈した結果だ。だが、その弱点をだれも直そうとはせず、政治家たちの政党くら替え禁止、政党による政治綱領の発表義務といった対策はことごとく失敗に終わっている。

 その結果、これまでの選挙戦では政治課題よりも立候補者自身に関心が集まり、有権者が投票する際も、候補者の知名度が何よりの判断材料になった。どの候補者も、所属政党の決まったスローガンしか口にせず、同時に、カトリック教会はじめ宗教団体の取り込みに必死となる。大手企業も保身のため、どちらの側が勝ってもいいように、与野党両陣営へ平等に献金する。

 政党の多くは勝利政党が決まるとともに瓦解し、選挙中の協力関係は跡形もなく吹き飛ぶ。候補者たちにとり最大の関心は「勝利した政党」であり、だれもが「勝ち馬」に乗ろうとするからだ。(12日・スター)

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