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2月12日のまにら新聞から

早やすぎた処分決定?

[ 692字|2007.2.12|社会 (society)|新聞論調 ]

大統領の夫の銀行口座疑惑

 カエタノ下院議員は今、充実した日々を送っていることだろう。今回の騒ぎで、出馬を表明している上院選の勝敗に特に影響はない。それどころか、アロヨ大統領と夫のホセミゲル氏の犠牲になったと主張すれば、追い風が十分に吹く可能性もある。

 カエタノ議員は被害者だが、潔白とは言えない。ホセミゲル氏がドイツの銀行口座に数百万ドルの預金を持っていると暴露したことで、下院倫理委員会から「不当な行為」と四十五日間の停職処分を受けた。

 ミュンヘンの銀行は、過去十年間、アロヨ一族が口座を所有していないことを証明した。しかし、カエタノ議員は、国内外のすべての口座や取引を含んでいない「いかさまだ」としてホセミゲル氏が署名した同銀行の権利放棄証を無視した。

 カエタノ議員は、下院倫理委員会の処分は時期尚早だと非難した上で、下院が同議員の告発内容を調査しなかったのだから、倫理委は告発に根拠なしとの結論はおかしいと反論した。もし同議員のような暴露で停職処分を受けるのなら、下院議員の半数が同様の事態に陥るはずだ。

 カエタノ議員に疑惑を証明する時間があったが、それを怠った。今後は、疑惑を証明するもしないも下院全体の責任となる。

 同議員は、同倫理委の今回の対応と、大統領弾劾に対する下院の対応とには雲泥の差があると指摘する。どちらも綿密な調査を行わなかったが、下院は弾劾を却下、同倫理委は停職処分を下した。 

 下院は今、数の力で支配されており、議員数で上回るアロヨ大統領側は意にそぐわない同僚議員をいくらでも罰せられる。今回の事態も数の力による専制政治の姿を証明したまでだ。(8日・インクワイアラー)

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