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9月11日のまにら新聞から

否認では煙は消えず

[ 688字|2006.9.11|社会 (society)|新聞論調 ]

大統領の秘密口座疑惑

 カエタノ下院議員がこのほど、アロヨ大統領と夫のマイク氏らがドイツにドル建ての秘密口座を隠し持っているとの疑惑を暴露した。

 大統領はこれを否定、また、ドイツの銀行が口座の存在を否定する公文書を示した。しかし、大統領一族が比や海外に秘密口座を持っているという疑惑は消すことはできない。なぜなら、大統領は今回のケースだけではなく、より大きな問題を抱えているからだ。それは、大統領とその一族への信頼性の欠如、そして彼女らが降りかかる数々の疑惑から巧妙に逃れ続けようとする姿勢だ。

 大統領と一族がドイツのハイポベリーンズ銀行に「口座なし」と証明した同行の公文書は、大統領らの口座が実在しないということの証明にはならない。第一に、この証明書が発行される前に、口座が閉じられたのかもしれない。第二に、口座開設が別名の場合、本当の所有者名を特定するのは難しい。第三に、口座があるのがこの銀行だとしても、カエタノ議員が指摘したように開設した支店が異なるのかもしれない。

 もし秘密の銀行口座が存在せず、伝えられる疑惑がすべて間違っているというのならば、大統領と一族はどうして疑惑口座などの権利放棄を示す文書への署名を拒んでいるのだろうか。

 大統領らの拒否は嘆かわしい。なぜなら大統領の否定声明は、反資金洗浄委員会によるいかなる疑惑調査にも協力しないことや、検察や裁判所に彼女が侮辱罪で訴えたカエタノ議員らを罰すよう求めるのが本意だからだ。大統領は権力と影響力を持ち、その望みはかなうだろう。だが、彼女が正面から向き合わないがゆえに、疑惑は今後も消え去ることはない。(6日・トリビューン)

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