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8月14日のまにら新聞から

希望を持てない国

[ 688字|2006.8.14|社会 (society)|新聞論調 ]

人材の海外流出

 看護師の海外流出が止まらない。米政府によると、一九九五︱二〇〇四年の十年間で、米国内で看護師資格を取得したフィリピン人は四万八千人に上る。英国や中東諸国へ流出する看護師数は年間一万五千人に上るとされ、これらの数字が事実なら、比は過去十年間で国内看護師の八割を失ったことになる。さらに、海外就労のため、医師から看護師に「転職」したケースも既に四千件を超えたという。

 医療事情の危機的状況に直面して、比政府は国立病院で勤務する看護師や医師の給与を増額するため、今後四年間に四百三十億ペソを毎年支出する計画だ。ただ、米国内で働く看護師の給与は月額六千ドル。ペソ換算では三十万ペソを超える。比国内の給与を少しばかり増額しても、人材流出の勢いを食い止めることは困難だ。

 比の将来に見切りをつけて、海外へ移住する人物も少なくない。最近、友人の一人からカナダ移住を決めたと聞かされ非常に驚いた。この友人は比国内のビジネスで成功した実業家。無論、金には困っておらず、移住話は寝耳に水だった。

 移住を決意した理由を知人は以下のように説明した。「一向に減らない犯罪や汚職にへきえきした。マルコス政権以後、この国を変えようと努力してきたが、結果的には何も変わらなかった。移住するのは金のためではない。希望を持てる国で子供を育てたいだけだ」

 知人のような気持ちを抱く比人は多いだろう。ただ、わたしは比にとどまり国を良くしようと望む国民も大勢いると信じたい。彼らの意志を生かすためにも、危機的な政治問題をまず解決し、希望の持てる国にしなければならない。(8日・タイムズ、アーネスト・ヘレラ氏)

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