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7月17日のまにら新聞から

節度ある対応を

[ 657字|2006.7.17|社会 (society)|新聞論調 ]

北朝鮮のミサイル発射問題

 北朝鮮がミサイルを発射したのは、世界の注目を集めたかったからだ。北朝鮮は政治的緊張を高めはしたが、数年かけて開発した長距離弾道ミサイル、テポドン2号の優秀性は実証できず、2号は発射四十秒後に日本海に落ちた。

 自国への直接脅威とはならなかったが、米国は北朝鮮がいかに危険かを強調している。ブッシュ米大統領は冷静を装い、北朝鮮への対応に協力するよう中国、ロシアに要請するとともに、「ミサイル発射を継続すれば、北朝鮮は孤立する」とのメッセージを共同で伝えるよう日本、韓国に求めた。

 また、同大統領は、「国連安全保障理事会を通じて対応する」と主張し北朝鮮との二国間協議を回避、さらに「金正日総書記は世界が挙げる一つの声に耳を傾けるべきだ」と言明した。

 日米は安保理で北朝鮮への制裁決議案採択を目指しているが、中国は非協力的だ。決議案は北朝鮮にミサイル開発中止を、また、他国には同部品などの対北朝鮮輸出停止を要請している。

 北朝鮮はミサイルを再発射すると脅し、反対派が圧力を掛ければもっと強力な手段に出る可能性がある。最貧困国のひとつとされながらも、北朝鮮は、世界の中で五番目の兵力を有する。

 ブッシュ大統領は国際合意を求めているが、金正日の反応次第では西欧諸国もその誘いを断らなくてはいけない。ミサイル発射で世界中が懸念する中、幸いにも各国首脳は戦争という行動には出なかった。タカ派の同大統領が節度ある対応を提唱し、世界平和と安全保障に向けて様々な手段が模索されていることは心強い。(11日・インクワイアラー)

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