国軍は政治から手を引け
反乱将校からの教訓
国軍兵士は権力に誘惑されそうになったら、その身勝手な行動で「同志」たちいかに苦しむことになるかを考えるべきだ。国軍・警察は七日、二〇〇三年の国軍反乱将兵事件に関与した将校六人を逮捕、うち三人は今年一月、拘置先のボニファシオ国軍拘置施設から脱走、逃亡中の身だった。六人は同二月に発覚した現政権転覆計画の首謀者とされる陸軍第一偵察連隊長のダニロ・リム准将らとともに軍法会議にかけられるのは避けられない。兵士たちを政治的に利用した政治家らの文民は、彼らに手を差し伸べるのだろうか。
リム准将のこれまでの軍歴は「トラブル」続きだった。アキノ政権下の一九八九年十二月、クーデター(未遂)を率いてマカティ市中心部を占拠。その後、恩赦で復職した同准将は、国軍屈指のエリート部隊を率いる地位へ上り詰めた。その間、自らの過去の行動から何も学ばなかった。しかし、今回に限っては別で、反省することになるだろう。一方、文民たちは政治目的に国軍を利用するのをあきらめるのだろうか。
センガ国軍参謀総長は六将校を記者団に公開した時、「国民は国軍を支え、兵士が軍務に専念できるようにしてほしい。軍人が政治に手を染めたら、大変なことになる」と述べた。
政権転覆計画に関与した大半がリム准将のように理想主義者で献身的な兵士たち。現政権に対する不満の妥当性は社会が認めるだろう。政治スキャンダルは未解決のまま。しかし、国軍兵士は政治問題の解決を文民および憲法規定に委ねるべきだ。兵士は政治に関与することなく、軍人として職業意識を高めねばならない。そうすることで問題の解決を見出し、民主政治の守護者になれるのだ。 (8日・スター)