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2月20日のまにら新聞から

責任認めるも謝罪なし

[ 687字|2006.2.20|社会 (society)|新聞論調 ]

テレビ番組圧死事故

 テレビ番組中継現場の圧死事故で、テレビ局ABS—CBNは国民の怒りを鎮めようと躍起だ。役員や報道番組担当者らが一団となって「責任は認める。被害者と遺族にできる限りの支援をする」と訴え続けている。

 しかし、美辞麗句の裏側に隠された本心はどうだろうか。同局番組に登場する幹部らは、自分たちの立場を説明するばかり。さらには「(同局は)群衆を動物のように扱った」と指摘した事故調査委員長発言を「非常に心外」とする始末だ。

 事故直後、「すべての責任は私が負う」と語ったロペス同局会長。「動物発言」に「われわれは人をそのように扱ったことはない」と反発するばかりで、大惨事を招いたことに対する謝罪の言葉はまだ一言もない。

 メディアの巨人は、被害者・遺族の取り扱いでもしたたかな面を見せている。損害賠償請求訴訟の集団提訴を計画している民間団体によると、支援と引き替えに損害賠償請求権を放棄する書面への署名を遺族らに求めているらしい。したたかさは一連の事故報道にも現れている。同局の報道番組制作責任者は「報道部門は独立しており、透明性の高い報道を続ける」と公言している。

 しかし、その言葉とは裏腹に、毎朝放送されているニュース番組から新聞各紙の一面トップニュースを紹介するテロップが事故後に消えた。トップ記事が同局にとって都合の悪い、事故関連のニュースで占められていたことは言うまでもない。報道番組制作責任者はテロップ消滅を「担当者が忙しかったのだろう」と弁明した。体面を保つための薄っぺらな言い訳には、群衆を動物扱いした同局の姿勢が投影されている。(13日・スタンダードトゥデー)

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