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12月19日のまにら新聞から

国民をなめた政府

[ 698字|2005.12.19|社会 (society)|新聞論調 ]

寒いクリスマス

 ネリ予算管理長官はこのほど、クリスマス商戦真っ只中なのに例年ほど売り上げが伸びないのは政府のせいではないと主張、販売戦略に問題があるとして、製造業者や小売業者に政府に責任転嫁しないよう求めた。

 同長官は記録的な金額に達した海外就労者からの本国送金などを理由に挙げ、「消費者の懐具合は悪くない。彼らの財布のひもを緩めることができないのは政府のせいではない」と述べた。

 ネリ長官の発言は的を得ているように見えるが、大半の業種で前年同期比五%から一〇%の販売減となっており、明らかに販売力以外の要因が働いている。

 国内に豊富な購買資金があることは確かだ。しかし、なぜ人々はクリスマスだというのにこれを消費に回そうとしないのか。これが販売減少の真の要因で、販売戦略の問題だけでは下落基調を説明できない。

 楽観主義で知られるアジア太平洋大学の副学長でエコノミストのベルナルド・ビレガス氏ですら「ビジネスマンたちはクリスマス商戦の不振に備えている」と警告した。同氏は「消費者が生活に不安を抱き、節約している」との見方を示し、政情不安や石油製品高騰などを理由に挙げた。

 しかし、国民を消費抑制に走らせているもっと具体的な理由がある。付加価値税増税法(新VAT法)により、今月末から電気料金が値上がりする。来年初めにはVATの税率が現行の一〇%から一二%に引き上げられる。経済的な今後の見通しは本当に真っ暗だ。

 消費者が生活の先行き悪化に備えているのはまったく正しく、合理的だ。逆に、壊れたレコードのように経済の好調を強調するネリ長官とアロヨ大統領の発言は合理的とは到底言い難い。(15日・マラヤ)

新聞論調