日本のカミカゼ的孤立化
首相靖国参拝で
日本はアジアから孤立しているように見える。小泉首相は、反日感情の高まりが深刻化した中国との関係修復に力を注いだ数カ月後、五度目の靖国参拝を行った。反発する中国、韓国は急きょ外相会談を中止。日本は再び域内で信頼回復に失敗した。
日本の歴史観が太平洋戦争中に日本軍が占領した各国に影響を与えることになぜ無頓着なのか。首相が固執する靖国参拝は過剰な自己正当化でしかない。
靖国神社にはA級戦犯十二人だけでなく、国に殉じた兵士ら二百五十万人がまつられている。中韓両国が靖国問題を日本の影響力拡大阻止の人質として乱用しているとする日本国内での声は本質を欠いている。首相参拝が「私的参拝」で通用するのは国内だけで、国外への配慮は全くみられない。
日本の孤立化は西側諸国の政策にも影響する。米政府は中国のアジア域内での影響力拡大に懸念を示す一方で、親日路線を強化することで中国をけん制、域内均衡を維持しようとしている。だが、域内競争で日本の不利な状況は明白で、米国の対応も急場しのぎにすぎない。
米欧の対日政策は改善が必要だ。焦点は愛国心の衝突を避け、日中双方の国益を尊重する協力関係構築の成否だ。そのためには日本の域内への積極的参加が必要。また、日本帝国主義の犠牲となった域内諸国の怒りに触れることが道徳、政治的にも非建設的であるとも認識すべきだ。
国際社会での責任遂行という認識は日本国内でも聞かれる。域内諸国にしても、大国の中国やインドとの関係強化に努める代償が、日本の域内孤立化を招くことであってはならない。(10月28日・インクワイアラー、クリストフ・ベルトラム氏)