逃げうせたロペス
水道会社国有化
ロペス財閥の持ち株会社「ベンプレス」のオスカール・ロペス会長は、ロペス財閥が政治的迫害を受けており、同財閥の公益事業への参加が言われのない非難を浴びているとふそんにも主張している。経営危機のマニラ水道サービス会社(MWSI)をめぐる発言だ。
ロペス会長の話を聞いていると、まるでロペス財閥は公益事業に使命感を持って取り組んでいるのにひどい中傷を受けているかのようだ。同会長は「われわれの善行はまったく認められていない。MWSIの経営に誤りがなかったことは明白だ」と話した。
高収益を生むとみられた水道の民営化事業は一九九七年、ロペス財閥のMWSIが首都圏西部、アヤラ財閥のマニラ水道会社が同東部での営業権を取得し始まった。その後、両社は料金上昇につながる契約改訂を政府に認めさせた。ペソ安による外債リスクを軽減させるもので、これで両社の経営は安定したはずだった。
先に国連に提出された報告書によると、ロペス財閥の経営的誤りを示す十分な証拠があるという。報告書は同財閥が自らに都合の良いあらゆる契約改訂を政府に認めさせた後、値上げされた料金の徴収は続けながら政府への営業認可料支払いを停止したと記している。この報告書を受け、国際仲裁法廷はMWSIに八十億ペソの営業認可料支払いを命じていた。
今回の政府による経営権取得で、ロペス財閥は八千万ドルのMWSI株を失うが、経営危機のMWSIから手を引けることを考えれば小さな額だろう。このニュースを受けた同財閥傘下企業の株価上昇で、同財閥はすでに八千万ドルを取り戻したかもしれない。(24日・トリビューン)