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1月5日のまにら新聞から

季節行事へ警告する

[ 689字|2004.1.5|社会 (society)|新聞論調 ]

増加する花火事故

 本紙はこの時期、多くのフィリピン国民がお祝い騒ぎで自らも含めた人間の命を危険にさらす事態に苦言を呈するのを伝統にしてきた。新年到来を祝う時期、死者や負傷者の憂うつな統計数字をわが読者にお目に掛ける作業は十年前に始まった。

 厚生省によると、十二月二十九日までの約十日間で百三十六人がクラッカーや爆竹事故で負傷して五十以上の病院で手当てを受けている。同時期、ほかに七人が花火打ち上げでやけどを負い、二人が銃弾でけがをしている。厚生省によれば、これまでの負傷者は昨年同期の八十九人より五一%増加しているという。最も事故の多い大みそかを前にしての負傷者数の激増で、厚生省はここ数年、下降傾向を示したクリスマスから新年にかけての花火事故が逆転するのではないかとみている。

 四年前、新世紀を迎える年、千五百六十八人がクラッカー、花火、銃器で負傷した。二年後、負傷者は五百九十三人に減った。昨年はさらに減り、五百三人だった。しかし、同省担当者は現在の傾向が、休暇シーズンが公式に終わる一月五日まで続けば、負傷者はまた千人を超すのではないかと危ぐしている。

 急激な負傷者増を説明するのは同省担当者にも難しいようだが、一部クラッカーや花火が安くて入手しやすくなったことも一因という。しかし、間違いない事実はスーパーロロ、スーパーバワン、プラプラなど爆発力の強力なクラッカーの製造、販売、使用を禁止する法律の施行に失敗したことが大きい。正月が来ると、人々は広い意味で戦争地帯に置かれることになる。家族を被害から守るためには、確実な保障の道を確立することだ。(12月31日・インクワイアラー)

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