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12月22日のまにら新聞から

選挙にらみの策略

[ 672字|2003.12.22|社会 (society)|新聞論調 ]

大統領の恩赦計画

 アロヨ大統領は分断された国と悪化した経済を引き継いだと言うのが好きだ。しかし、この主張はほとんど正しくない。大統領がエストラダ前大統領の追放をたくらむまでは、国は分断されていなかったし、経済は活気づいていた。

 大統領は前大統領退陣の一年前にはすでに国軍幹部や実業家、カトリック教会司教らと陰謀を練り始めた。彼らは意図的に前大統領を陥れ、不確かな情報に基づいて罪状をでっち上げ、前大統領を訴追した。

 大統領こそが国を分断に導き、憲法に基づいた体制をひっくり返し、国軍と国家警察を政治的にし、経済を台無しにした張本人だ。大統領自身が作り出した分断により、わが国は現政権下で平和と団結を達成することは決してできない。

 大統領は今、恩赦法案の草案を作成中としている。国の分断を癒やすのが目的で、主な対象は共産・イスラムゲリラ.。政治犯も含まれるという。だが、恩赦でゲリラが法に従うようにはならない。ゲリラの反乱は不正義や貧困などの社会問題に起因する。恩赦で貧困はなくならず、ゲリラに反政府闘争をやめさせるのは不可能に近い。

 大統領の恩赦計画はいつも通り次期大統領選をにらんだ政治的策略だ。第一に議員は次期選挙の準備態勢に入っており、国会に恩赦法案に取り組む余裕はない。さらに、予算案が成立しないことに象徴されるように、大統領に国会をコントロールする力はない。

 大統領は政治的策略として「平和と団結を成し遂げる意志がある」と言うことはできる。しかし、誰が大統領の言うことを信じるだろうか。(19日・トリビューン、ニネス・カチョ・オリバレス氏)

新聞論調