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11月17日のまにら新聞から

司法が最後の砦に

[ 699字|2003.11.17|社会 (society)|新聞論調 ]

管制塔占拠と弾劾

 先週末に起きたマニラ空港管制塔の占拠事件は、国の将来に絶望するという一種の感染症の症状を呈した。この国の政治システムは病んでおり、治療不能に陥っているという感覚は多くのフィリピン人が共有している。まさにこの理由により、最高裁は憲法体制の危機に直面し、ダビデ長官に対する二回目の弾劾発議を憲法違反と宣言しなければならなかった。最高裁にはその義務があり処方箋(せん)を施す必要があったのだ。

 管制塔占拠事件は単独行動だったのか、それともクーデターの試みと絡んでいるのかはっきりしない。だが、政府の汚職と不正の横行に絶望した男の絶望的行為だったことは確かであろう。彼は占拠行為に政治は関与していないと言っているが、国軍将校たちをオークウッド占拠へと向かわせたのと同じ絶望感を持っていたように思われる。

 ビリアルエル容疑者は、政府や航空当局に何も要求を出していない。彼はただ、ラジオやテレビのインタビューに対し、「我々は議論を繰り返すだけだ。全くの偽善者で、フィリピンの将来はない」と指摘している。多くのフィリピン人は彼の指摘する偽善的政治が諸悪の根元であることには同意している。しかし、彼のように暴力を行使したことに対しては多くが否定していることも確かだ。

 占拠事件と弾劾発議はどのように関係しているのか。最高裁の断固たる決定は下院議員の権力乱用をチェックし、国民に次のような強力な信号を送った。すなわち、われわれのシステムは最も権力ある者の企みでさえこれを阻止することができ、政治が行政をしのぐようなことがあっても司法が最後の砦(とりで)になり得るとのシグナルを。(10日・インクワイアラー) 

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