問われる政治意志
軍・警察生活調査
政府は汚職対策として軍・警察の生活調査を実施すると発表した。これを受け、今、汚職職員らは息をのんで調査の成り行きを見守っている。昨年にはアロヨ大統領は政府職員を対象に調査を命じたが、大統領府職員への調査すらまだ行われていない。国民にはこれまでに、調査員から調査を遂行する難しさについての説明があっただけだ。
しかし、今や政府は調査対象に国軍や国家警察を含めることにした。反乱事件を起こした国軍将兵が「勝利」したと言ってよいだろう。彼らは権力を奪取する意図はなく、国軍にまん延する汚職を告発するのが目的だったとの主張を変えていない。反乱軍は国民の支持を得ることには失敗した。しかし、大方の国民は彼らが暴露した国軍の汚職は真実であると考えている。
政府は国民の疑念に応えるしかない。国軍と国家警察の資材調達手続きが現在精査されており、レイエス国防長官も建築費一千万ペソの住居をめぐり調査を受けている。しかし、政府はこの二機関に加え、国家捜査局(NBI)をなぜ調査の対象に加えないのだろうか。
調査の実施は歓迎すべきニュースだ。しかし、昨年から行われてきた調査の結果、不正蓄財が判明して告発されたのはこれまでにわずか四人だけだ。これでは国民に強い印象は与えられない。
アロヨ政権は、その誕生の経緯から国軍と国家警察に常に「借り」があるとの国民の認識を変えなければいけない。生活調査は汚職対策キャンペーンと「借り」が別物であることを示す一つの手段となるだろう。問われているのはアロヨ政権のキャンペーン実行への強い政治的意志である。(14日・スター)