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5月19日のまにら新聞から

高まるテロへの恐怖

[ 709字|2003.5.19|社会 (society)|新聞論調 ]

リヤド自爆テロの教訓

 サウジアラビアの首都リヤドで十二日深夜に連続して発生した自爆テロでは九十人が死亡、二百人が負傷した。外国人居住区に突っ込んだ車三台が爆発し、死者の中には米国人十人のほか、フィリピン人二人も含まれている。

 事件直前の今月二日にはブッシュ米大統領がイラク戦争の終結を宣言。米大統領は「大きな勝利だが、対テロ戦争はまだ終わっていない」と発言していたが、テロリストがこれを証明した形なった。

 米軍がアフガニスタンやイラクへ侵攻した際、政権が国際テロリストを保護していたり、大量破壊兵器を保有しているという理由が大義名分とされた。

 しかし、事件後、爆破現場を視察したパウエル米国務長官は、「(国際テロ組織)アルカイダの犯行とみられる」と発言。今回のテロを通じてアルカイダは「いまだに勢力を維持しており、世界中のどこでもテロ攻撃を行える」とのメッセージを世界に知らせたのである。フセイン政権が崩壊しても爆弾テロを実行できると証明したわけだ。

 また、テロはイラク攻撃を支持した国々への警告とも受け取れる。現在サウジアラビアに海外就労者七万人を派遣し、イラク復興に向け、米国系建設会社に雇用される多くの労働者の派遣を予定しているフィリピンにとってリスクは軽いものではない。

 米国は圧倒的な軍事力を見せつけてイラク軍を制圧した。だが、未だフセイン大統領やビンラディン氏の所在は不明で、イラク攻撃の大義名分となった大量破壊兵器も発見できていない。圧倒的な軍事力ではテロを抑止できないと判明した今、テロリズムに対抗するには諜報活動を強化するしかない。米軍のイラク占領は米政府の予想以上に長引きそうだ。(15日・インクワイアラー)

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