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5月19日のまにら新聞から

ミ島に平和は来るか

[ 705字|2003.5.19|社会 (society)|新聞論調 ]

MILFの攻勢激化

 国軍は今年二月十一日、ミンダナオ地方中部、北コタバト州ピキット町にあるイスラム急進派、モロ・イスラム解放戦線(MILF)拠点に大規模な攻撃を仕掛けた。拠点内に誘拐事件を再三起こしてきた「ペンタゴン・グループ」が隠れているというのが理由とされた。

 エストラダ前政権が二〇〇〇年に全面戦争を宣言しMILFの最大拠点を制圧したことをほうふつさせる大攻勢だった。だが、前回との違いは、MILFが小グループに拡散し反撃していることだ。

 戦線はミンダナオ地方中部、西部などに拡大。軍関係施設だけでなく、送電線などの公共施設への攻撃も激化した。三月、四月とダバオ市内で爆弾テロが相次ぎ、今月に入ると四日に北サンボアンガ州シオコン町役場襲撃事件が発生、市民に多数の死者が出た。

 MILFは町役場襲撃事件への関与を認めた。情報機関によると、襲撃メンバーにはイスラム過激派、アブサヤフやイスラム最大勢力、モロ民族解放戦線(MNLF)の元メンバーが加わっていたという。

 そして十日には同地方南部南コタバト州コロナダル市で爆弾テロ事件が起きた。「国軍は強がりばかりで、われわれを抑止出来ない」と言うのがMILFとその仲間らのメッセージであろう。

 政府とMILFとの和平交渉は棚上げされ、もはや前政権の「全面戦争」に近い状況となっている。閣僚の中からも和平を求める声は出てこない。いつ終わるとも知れない「敵の壊滅」が唯一の和平獲得手段と考えているようだ。

 現政権下では国軍とMILFとの間であまりにも多くの血が流された。和平への道のりは険しく、関係修復には奇跡が必要となった。(16日・タイムズ、フェルミン・アドリアノ氏)

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