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5月12日のまにら新聞から

戦闘激化で無力感

[ 698字|2003.5.12|社会 (society)|新聞論調 ]

和平交渉団長の辞任

 イスラム急進派、モロ・イスラム解放戦線(MILF)と政府の和平交渉は成果を得られなかった。この希望のない状況下、MILFとの政府側交渉団長を務めるドゥレサ氏はアロヨ大統領に辞職を願い出た。大統領は同氏の辞表を受理し、「ミンダナオ地方担当の大統領補佐官、ミンダナオ経済開発評議会議長の職務に専念したい」という同氏の意向に賛意を示した。

 ドゥレサ氏の辞任は和平交渉を持続させたい政府の望みに背くものだろう。同氏はMILFとの交渉が無益であることを否定しなかった。同氏いわく、MILF指導部は暴徒化する現場指揮官の管理能力を急速に失っており、そういった指揮官のメンバーが国軍部隊や罪のない地元住民に対し、残虐行為を繰り返しているという。

 辞任の理由として考えられるのはドゥレサ氏が交渉団長として無力感を感じたからに違いない。大統領府が和平交渉における重要な局面で同氏の立場をなおざりにし、同氏の判断を否定してきたことにも失望したのだろう。

 また、同氏の強い反対にもかかわらず、国軍がMILFの元拠点「ブリオク・コンプレックス」を全面攻撃したため、停戦に向けた努力も無になってしまったことにも幻滅したと思われる。戦闘が激化してしまい、これまでの二年間の交渉で獲得し積み上げたものははかなく消え去ったのだ。 

 今やMILFは戦闘モードに入ってしまった。ドゥレサ氏は、MILFとの和平予備交渉を再開する任務は重すぎると認識したのだ。交渉のプロセスは振り出しに戻った。悪夢のような任務を繰り返すというような厳しい試練は人の忍耐を越えるものだろう。(11日・スタンダード紙、フェル・マラガイ氏)

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