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7月1日のまにら新聞から

希望と誇りを喪失

[ 703字|2002.7.1|社会 (society)|新聞論調 ]

「移住願望」の背景

 民間調査機関「パルス・アジア」がこのほど実施した調査の結果、フィリピン人の五人に一人が他国への移住を希望していることが分かった。計算では、既に海外で生活する七百四十万人のフィリピン人のほか、八百二十万人が移住を望んでいることになる。移住願望の背景には、国のリーダーが希望と平安を与え損ない、国民が将来を悲観していることがある。また、これはフィリピン人としての誇りを喪失することを意味する。

 政治や経済の混乱はある意味で戦争以上に国民の希望を失わせる。現在の指導者は金集めに夢中で、最大の関心事は次回の選挙。路上はまるで西部劇のような無法状態にある。

 調査では海外就労経験がある人ほど、海外移住を希望する傾向が出ている。フィリピン人海外就労者は、時が経つにつれ、母国と海外の生活環境を比較し始め、家族と共に海外移住を決意する例が多い。また、多くの人はフィリピン人が海外では働き者なのに、国内では怠け者であることを不思議に思っているが、国内と海外では仕事に対する誇りと希望に格差があるからだろう。

 全国の有権者千二百人が対象となったこの調査で、移住願望が最も高かったのは首都圏だった。国内で最も発展している首都圏で「フィリピンに希望が無い」との割合が高いことが、問題の深刻さを示している。

 だが、海外からの送金は手っ取り早い税収増にもなる。政府は国内産業を活性化させることなく、悲しいかな海外就労を推奨している。それだけでなく、国民の窮状を無視する政府は対外債務を増やし続け、外国政府に迎合し、米国の称賛の言葉だけを慰めとしている。いったい誰が移住希望者を非難できようか。(27日・トリビューン社説)

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