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7月1日のまにら新聞から

解任劇の裏に何が

[ 702字|2002.7.1|社会 (society)|新聞論調 ]

違法賭博と警察幹部解任

 内務自治省国家公安委員会(委員長・リナ同省長官)はこのほど、違法賭博フエテンの取り締まりを怠ったとしてアグリパイ首都圏警察総監ら国家警察幹部七人の解任を決めた。これには当事者だけでなく、多くの人が驚かされた。正当な根拠や手続きなしで解任されたとして幹部らは抗議の声を上げている。

 だが公安委員会の解任理由は明快だ。彼らは管轄地域内でのフエテンなどの違法賭博取り締まりを怠ったとされている。リナ委員長は、「管轄地域内で違法賭博が三件以上摘発された場合、取り締まりを怠ったとみなす」と事前通告していたらしい。

 フエテンはビンゴに似た数合わせの違法賭博で一九九五年現在、運営者は合計で二百二十億ペソの金を動かしていたといわれ、収益の一部は警察に流れているとされてきた。

 だが、この人事異動には何か裏があるに違いない。疑問の一つはなぜレイナルド・ベロヤ警視長が七人の中に含まれているのかということだ。警視長はアロヨ大統領の夫、ホセミゲル氏の親しい友人として知られている。大統領は、友人を見捨てないことで有名だ。でなければ(知人である)メンドーサ国家警察長官は無能者としてとうに解職通知を突きつけられていたはずだ。警視長の今後の異動先が気になる。

 また、七月にバランガイ選挙が予定されている。不正防止目的で選挙直前の異動は禁止されており、この異動が実際に行われるかも疑問だ。

 リナ委員長は「小さなことすらできない者に大事は成し遂げられない」と語ったが、公安委員会は違法賭博の取り締まり以上に、誘拐や麻薬密売を行う幹部こそ解任すべきだろう。国民は警察の改革を望んでいる。 (28日・インクワイアラー社説)

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