新車市場を浸食した?
中古車の輸入問題
ロハス貿易産業長官は国内業界の要望を拒み、セメントの輸入関税撤廃に踏み切った。その彼をもう一つ同類の問題が襲っている。自動車メーカーの批判にさらされている中古車輸入問題だ。国内製造業者と輸入業者との確執がここにもある。
右ハンドル仕様の小型トラックや建設用重機が日本からスービック湾自由港・経済特別区に輸入され、左ハンドル仕様に改造される。税金を納め、新車とは比較にならない安値で公設競売に掛けられている。これが現状である。
国内の自動車メーカーは中古車の輸入停止を求めている。免税された輸入車を経済特区外に売るのは、権限の乱用であり、安全性や排ガス規制の順守にも問題があるという。
しかし、フィリピン競売協会は批判に逐一反論している。もとより密輸ではなく、税金は払っている。司法省はじめ政府も、中古車輸入を認めている。安全性については、陸運局の厳しい検査を受けており、排ガス規制についても、大気汚染防止法に基づき、同局の検査にパスしなければ車両登録ができない。
さらに、中古車は自動車メーカーの市場を侵食してはいないという。輸入されるのは業務用トラックや重機などで、乗用車ではないからだ。
業務用車両を国内自動車メーカーから購入するのは価格的に不可能だ。国内最大手の建築会社でも新車を買いそろえるのは不可能だろう。中古車は建設業や農漁業、運送業のコスト削減に役立っているのだ。
率直な話、自動車メーカーの価格設定は、市場原理に基づいていない。長年保護され、競争なしに価格を操作してきたといえる。強力な競争相手が現れ、政府に助けを求めているのが現在の姿である。(18日・インクワイアラー、ニール・クルス氏)