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4月22日のまにら新聞から

科学系教育の重視を

[ 700字|2002.4.22|社会 (society)|新聞論調 ]

新卒者の失業問題

 三十八万四千人がこのほど国内の短大や四年制大学を卒業した。しかし、社会の新しい担い手としての彼らの就職事情は芳しくない。

 アロヨ大統領は先週、新卒者の就職状況は明るいものではないと語った。失業率は一〇・三%と依然高水準だ。採用側は経験のある中途採用者を好み、新卒者は分が悪い。

 こんな中、明るい話題は、アジア開発銀行がフィリピンの今年の経済成長率を昨年の三・四%を上回る四%と予測したことだ。さらに、「ホットマネー」と呼ばれる投機資金も増えている。経済成長が加速すれば新しい産業やビジネスが生まれ、新卒者採用も増えるだろう。

 海外でフィリピン人看護士の需要が高かった二、三十年前の看護系コースと同じように、情報技術(IT)関連コースの履修が流行になっている。しかし、IT関連産業が吸収できる人材は限られている。さらに、この産業は技術の進歩が著しく、学んだことがすぐ時代遅れになる。

 既に新卒者の間では不満が高まっている。十日には情報産業系のビジネススクールの卒業者たちが、マイクロソフト社の入居しているマカティ市のビル前で抗議行動を行い、新卒者の窮状を訴えた。

 大卒者の就職状況改善のためには、科学、工学、技術系科目がもっと学ばれていい。近年は経営学や教育学が人気のようだが、フィリピンのような途上国には科学者や技術者がもっと必要だ。

 このためには奨学金制度などを活用した教育課程の再編成が不可欠である。産学が協調し、科学分野の勉学を促す環境を作らねばならない。不本意な職に甘んじ、海外に職を求め、無職に泣く、そんな新卒者を出さない社会システム作りが先決だ。(16日・インクワイアラー)

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