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12月3日のまにら新聞から

再生への苦しみ

[ 688字|2001.12.3|政治 (politics)|新聞論調 ]

ARMM知事選疑惑

 十一月二十六日のイスラム教徒自治区(ARMM)知事選で広く不正が行われたという噂が広がり、選挙の意義が傷つけられた。しかし、このような不正選挙の疑惑だけで、ARMMのポスト・ミスアリ体制を占うことはできない。

 モロ民族解放戦線(MNLF)のミスアリ支持派が選挙を妨害するためにホロ州とサンボアンガ市で反乱を起こしたが、選挙は予定通り実施された。反乱や不正疑惑は、ARMMの再生に向けての苦しみであり、新しい時代への移行を反映したものと言える。ミスアリARMM知事が支持者たちを残してマレーシアで逮捕されたことは、彼の浪費癖と行政手腕の無さに翻弄されたARMMが、その過去と決別したことを意味する。

 しかし、今回の不正選挙疑惑は、現在知事選をリードしている二候補のパルク・フセイン氏とイブラヒム・パグラス氏にとっては不運だ。彼らの言動は近代的に装われ、ミスアリ体制からの脱却を目指すスタイルを示すなど、真の改革への希望を抱かせる。アロヨ政権がフセイン氏を支援するために選挙に干渉したことが事実であれば、逆にARMMの変革に水を差したことになる。集計が遅れ、当選確定者の合法性に疑惑が投げかけられるなど、政治絡みの不正は許してはならない。

 フセイン氏はミスアリ氏をMNLF議長職から解任した勢力のメンバーで、ミンダナオ和平を目指す交渉に長く関わってきた外交家である。一方、パグラス氏は元々実業家で、マギンダナオ州で町長を務め、完全雇用を達成するなどその行政手腕には定評がある。

 どちらが知事に就任したとしてもARMMはリーダーの交代で、良い再スタートが切れるに違いない。

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