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5月21日のまにら新聞から

無用な対立を避けよ

[ 701字|2001.5.21|社会 (society)|新聞論調 ]

野党の「集計改ざん指摘」

 上院選(改選数一二、補選一)の開票が続いている。野党側は、野党連合の圧倒的優位を伝えた一部ラジオ局の出口調査を根拠に、「開票結果が改ざんされた恐れがある」と訴えている。しかし、民間選挙監視団体が連日公表し続けている速報結果を前にしては、振り上げたこぶしを降ろさざるを得ないだろう。

 今回の選挙は、エストラダ前大統領の訴追などで高まった政治的緊張を緩和する役目を担っていた。野党スポークスマンは、無責任な言動で新たな対立の引き金を引くのではなく、開票作業が終わるまでじっと待つべきだ。忍耐と独立機関の決定を受け入れる度量がなければ民主主義は成り立たない。

 ところで、中間速報が伝える得票傾向がこのまま続けば、議席の獲得数は「与党八、野党四、無所属一」となる可能性が高い。これは、過半数支配を狙う与党連合にとっては最悪のシナリオと言っていい。

 なぜか。与党の非改選議員は三人で、今回当選するであろう八人を加えると計十一人。一方、野党の非改選議員は七人で当選議員と合わせると計十人になる。与党十一人、すなわち過半数割れは、上院の空転を引き起こす恐れがあるからだ。

 だからといって、政権運営が直ちに手詰まり状態に追い込まれるとは限らない。前大統領の就任時、野党が下院の過半数を握っていたが、国会開会と同時に野党議員は与党へと一斉にくら替えした。歴史は与野党の勢力図が「水物」に過ぎないことを示しているのだ。

 また、ラモス元大統領が再三使った特定の法案などに限定した野党との「政策協定」も有効だろう。国会でのコンセンサス形成を容易にするためにも、現状を素直に受け入れる潔さが野党連合に求められている。

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