貧困問題の解決を
前大統領派の「革命」
エストラダ前大統領支持者の抗議活動は民衆革命になり得た。長きにわたり貧困にあえいできた不正義の犠牲者たち。何も失うものがない彼らが持つ原始的な力の結集は、本当の意味での「ピープルパワー」だった。
マルクス主義者が主張するように革命は無産階級の民衆にしか成し遂げられない。過去の「ピープルパワー」と違い、前大統領支持者の中には、「既得権益」を失うことを恐れる富裕層、中産階級、活動家、知識層、宗教家の姿はなかった。
だが、エラップ(前大統領の愛称)を権力の座に復帰させるという彼らのメッセージは革命とはほど遠いものだ。政治システム、雇用・社会福祉などへの改革要求はなかった。
だからと言って、民主的な待遇や十分な教育を与えられなかった貧困層の人々を責めることはできない。
その責任は国家を正しく導かなかったこの国の指導者たちにある。
マラカニアン宮殿での戦いはショッキングな事件だが、私は民衆ほう起の必要性を信じている。貧民は政治家たちのおもちゃのように利用されてきた。彼らが立ち上がる起爆剤となった扇動者がいようがいまいがこの際関係ない。
あれだけの人たちが催涙ガス、治安部隊の発砲に立ち向かい、宮殿に向かったその力は計り知れない。政府は貧困という根本問題を解決しなければ、いつの日かまた同じ危機に直面するだろう。
国民同士が戦った今回の事件に勝者はいない。エラップ支持者もまた、初めから勝者になり得なかった。参加者に日当や食料、交通費を支払った政治家は、数万人の大衆が命を懸けて戦ったことなどすぐに忘れてしまうからだ。