民営化だけでは不十分
賭博問題の行方
十四日に表明されたフィリピン娯楽ゲーム公社の民営化方針を手放しで喜ぶのはまだ早い。
大統領は「政府は一切の賭博(とばく)から手を引く」と発表したが、「賭博を中止する」とまでは言及していない。単に「娯楽ゲーム公社を民営化する」と明言したに過ぎないのだ。
娯楽ゲーム公社はカジノ、オンラインビンゴ、ハイアライを運営し、政府に巨額の歳入をもたらしてきた。民営化は政府が賭博からの収益を取り止めることを意味せず、税徴収は続くことになるだろう。民営化という形で政府は賭博に対する態度を明らかにしたものの依然、論議の的だ。大統領は抜本的改革に向けた動きを守る用意をしなくてはならない。
大統領はまた、民営化によって新たに発生する諸問題への対策を練らなければならない。民営化は賭博のノウハウを知る人々を魅了するだろう。大統領のクローニー(取り巻き)で株価不正操作疑惑で取り調べ中のダンテ・タンや賭博疑惑の渦中にいる娯楽ゲーム公社の元顧問チャーリー・アンの名前が挙げられよう。
さらに大統領は全国で激増する数々の違法賭博への政府の対応に明確な方向性を与えなければならない。国家警察にお決まりの命令をしているが、全国の多くの場所で警察官自身が賭博王の仲介人になっていることは周知の事実だ。今回の民営化表明だけでは、賭博による大統領の頭痛は当分治りそうにない。