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5月8日のまにら新聞から

課題山積の労働政策

[ 591字|2000.5.8|社会 (society)|新聞論調 ]

賃上げだけではない

 アジア経済危機からほぼ三年。景気は回復しているが、歩みは遅い。不況から立ち直り始めたばかりの企業は、労働者が要求する大幅賃上げに応じられる状況にはないようだ。「貧者の擁護者」を自認するエストラダ大統領は新千年紀初のメーデーにあたり、賃上げ問題に代えて、時代に即した雇用の創出と労働者の権利擁護を求めるはずだ。

 情報技術(IT)などとの取り組みが、新たな政府の課題になっている。フィリピンは科学技術や教育の分野でIT革命から大きく立ち遅れている。労働者も、自分たちの技術力が国際的な労働市場で他国に劣っていることに気づいている。失業率を下げるためにも政府は、新時代の職種に対応できる適切な訓練の場を労働者に提供しなければならない。

 一方、社会的な変化が職場に新たな問題を提起している。多くの女性が職場に進出している現在、これまでとは異質な労働者保護が求められている。反セクハラ(性的嫌がらせ)法の制定などはある程度の進展が見られるが、さらなる改革の実施が求められている。

 このほかにも、四百万人にも膨れ上がっている海外就労者、児童労働や売春といった問題がある。

 急進的な労働組合はきょう、賃上げなどの要求を掲げて集会を予定している。政府は、賃金問題とは別に、新たな職種での雇用創出など、労働者の要求に応えなければならない。彼らは国家の最も重要な資源である。(1日・スター)

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