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5月8日のまにら新聞から

ミンダナオ島紛争

[ 635字|2000.5.8|社会 (society)|新聞論調 ]

武力解決は手詰まり

 イスラム急進派、モロ・イスラム解放戦線(MILF)はミンダナオ地方のマギンダナオ、北ラナオ、南・北コタバトの四州で国軍基地や政府施設、ハイウエーなどを攻撃、一九九七年に政府とMILFとの停戦合意が決裂して以来、最大規模の戦闘となっている。

 MILFの攻撃を受けて、国軍はより多くの軍隊を最前線に送り込んでいる。戦闘の拡大で、和平交渉再開の機運は一段と遠のいた。

 双方ともに決定的な勝利を得るだけの軍事力を投入できないために、戦闘は手詰まり状態にある。

 こうした状況を見ていると、和平交渉再開のためには停戦が必要との論理に行きつく。ミンダナオ地方の四州ですでに十二万人の住民が紛争地帯から避難している事実に照らしても、不可欠である。

 MILFは国軍と正面からぶつかって勝てるほどの勢力ではない。軍事力で国軍は優位にある。

これまでに成功したのはゲリラ活動に限られている。

 だが、国軍の活動にも限界がある。政府はバシラン州でイスラム過激派、アブサヤフが誘拐した人質救出に失敗した。また、ミンダナオ地方ホロ島でもアブサヤフが外国人らを人質にしている。政府の救出作戦が無力だと分かれば、アブサヤフもMILFもより大胆になる。

 停戦協定が破られたのをみると、どちら側も「自分たちは潔白」とは言い張れない。双方が協定に違反した。交戦を中央政府と分離主義反乱派の「力試し」と政府がとらえていたために、和平交渉への取り組みははかどらなかった。  (4日・インクワイアラー)

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