地球規模の協力不可欠
人身売買反対で国際会議
海外で就労しているフィリピン人への虐待事件が、大きく報道されることはまれだ。被害者の大半は女性で、遺体になって帰国するケースもある。
外務省によると現在、五百五十万人のフィリピン人が海外で働いている。売春など人身売買の対象となり奴隷のような扱いを受けている人や、売春目的で売買されている低年齢の子供もいる。
三月下旬、首都圏で開かれた人身売買に反対する国際会議で、女性や子供の人身売買は年間数十億ドルの市場に膨らんでいる現状が明らかにされた。人身売買の犠牲者は百万人にも上るという。また、米国政府は、東南アジアでは二十五万人が一人六千—一万ドルで売買されていると指摘している。
このような「もうかる仕事」の壊滅は困難である。特に、被害者が自ら人身売買に足を踏み入れる場合はなおさらだ。アジアでは経済危機の発生が人身売買を一層促進させた。女性団体には売春の合法化を支持しているものもある。自ら身体を売ろうとする者を守るすべはないに等しい。
積極的にわが身を売ろうとする人は少数派で、大半はだまされて人身売買の対象となる。さらに、米国の政府関係者が、「日本や中国の暴力団がアジアの子供たちを欧州経由でマイアミへと密売している」と指摘するなど問題の深刻さは増している。人身売買は現代の奴隷制度であり、そのぼく滅には地球規模の国際協力が不可欠だ。(3月30日・スター)