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7月11日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 588字|2016.7.11|社会 (society)|ハロハロ ]

 イスラム教のラマダンが終わった。ラマダン明けの祝祭日は特別休日。全国のモスク(礼拝所)には多くのイスラム教徒が集まり、聖地メッカに向かって礼拝したと、本紙が伝えている。ラマダンの期間中、マニラ市のキアポ地区にあるゴールデンモスクを訪れた。高速道路をくぐり抜けると、イスラム教徒の人々が目立つ光景に変わる。いつもは賑やかという周辺の市場は閑散としていた。

 案内された広いモスクの中では信者たちが祈りを唱えていた。ラマダンの月は日の出から日没まで飲食を断つため「断食月」として知られる。非教徒に断食は強要されないが、イランに住んでいた時、外国人も例外扱いされなかった。初めは苦しかったが、慣れると案外よいものである。変化に応じて自分のリズムをつかむことがこつ、と教えられた。心身ともに健全さを取り戻した気分になるから不思議なものだ。

 作家の故灰谷健次郎さんが健康のための「週末断食法」を紹介したことがある。仕事がある金曜は軽い食事、土曜から日曜昼までは水だけ、その後おかゆなどで徐々に戻すという具合だ。緩やかな断食だが、これだけでも体調がすっきりするという。灰谷さんの断食提案からは、飽食の戒めという健康問題にととどまらない文明批評が感じられた。イスラムと西洋近代化というテーマに絞って言えば、宗教上の試練を課すラマダンも近代文明への批評と思っている。(立)

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