ハロハロ
ドゥテルテ次期大統領の地元ダバオ市で、人気にあやかり自宅見学など「ドゥテルテ・ツアー」が計画されているという。政府トップの自宅が観光コースになることはあまりないだろう。米大統領のホワイトハウス、英首相のダウニング街10番地はいわば官邸兼公邸。日本で何かと話題になったのは田中首相の「目白御殿」。東京・目白の2千坪の私邸前では、観光客や通行人がシャッターを押す光景が見られた。
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鳩山家の「音羽御殿」は鳩山会館として一般開放。安倍首相の祖父の岸信介氏が後に御殿場市に建てた数寄屋建築の私邸も同市に寄贈され、「東山旧岸邸」として一般公開されている。40年近い前の話だが、暗殺された韓国の朴正熙大統領の国葬に、岸氏が日本政府代表として参列したことがあった。もともと大平首相が行く予定だったが、「40日抗争」と呼ばれる福田前首相との権力闘争で一日たりとも日本を離れることができなかった。
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ところが政府チャーター機が濃霧のためソウルの金浦空港に着陸できず、いったん福岡空港に戻ることになった。空港のVIPルームは同じように引き返してきた各国の要人でにぎわっていた。その中にマルコス大統領のイメルダ夫人がいた。報道陣にも手を振り愛嬌をふりまいていた。再びソウルに向かう機内で岸氏に夫人の印象を聞いたところ、「ああいう女性は苦手でね」と笑いながら話していたことを覚えている。私がイメルダ夫人を間近に見たのは後にも先にもこれ一度である。(立)