ハロハロ
音信不通の友人の消息が分かるかもしれない? この「予感」が的中した。今月最初の日曜、東京・新宿区の国際協力機構(JICA)市ヶ谷ビルでのトークイベントに、自国の村落開発に取り組む東ティモール青年が出席するのを知り、参加を申し込んだ。小さな首都ディリから来たこの青年が「もしかして友人と顔見知りではないか」と、淡い期待にも似た思いを勝手に持ったからだ。
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前夜の春嵐が残した強風の中、会場に到着。大柄で柔和な表情の東ティモール青年を見つけ、話し掛けると、彼がこの日の主役ゼキト氏だった。早速、ディリ在住の友人の名を挙げ、知っているかどうかを尋ねた。返事は「ノー」。期待外れに肩を落として席に着き、イベント主催者CAREインターナショナル・ジャパンのニュースレターを読み始めた。そこには今年1月、東ティモールで行った、登校用かばんや文房具を小学校に届ける活動が報告されていた。
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冊子2ページ目には現地NGO活動家を紹介する小文が載っていた。添付の顔写真を見て一瞬、目を疑った。彼の名が「テオドジオ・シメネス」とあるのを確認、驚きと感動で身が震えた。音信不通の友人が突然目の前に現れ、ほほえみかけている。ディリで最後に会ってから10年を超える年月が過ぎ、モノクロ写真の中の彼は貫録十分。今は母国の教育ボランティア活動で中心的役割を担っているという。帰宅後、CARE関係者が教えてくれた携帯に電話した。受話器の向こうから「テオ」の懐かしい物静かな声が響いてきた。(道)