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12月12日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 574字|2011.12.12|社会 (society)|ハロハロ ]

 忍法帖シリーズの山田風太郎が「あと千回の晩飯」を新聞に連載したのは1994年、作家が72歳のときである。愛読者ではないが、当時、タイトルに衝撃を受けた。自分の死期を予測し、老い先を夕食の回数で計るのか、と。最近、文庫本を買って読み返したが、内容は老人の自虐的くりごとである。しかし、残り少ない食事を大切にしようという考え方は伝わる。

 馬齢を重ね来年は喜寿だが、あと何回、晩飯が食える?などと考えたことはない。でも、食を慈しむ気持ちは強くなった。とはいえ、グルメでもグルマンでもない。うまいものを発見したと喜んでみても、しょせん、庶民の味だ。今年の掘り出し物は、首都圏を中心にチェーン展開する中華食堂のラーメン。390円と安い。煮干やかつお節が利いた和風味が何ともいえない。昼時に外出しているとつい、足が向くことになる。

 比滞在中はマカティアベニューのジョリビー脇にあるフレンチカフェに通う。キッシュやクロックムッシュ(マダム)もあるが、バゲットにハムやベーコンを挟んだサンドウイッチが気に入っている。BLTサンドの値段が145ペソ、店自慢のトマトスープとで合計230ペソは格好の昼飯である。サラダも各種、取りそろえてあって女性に人気のよう。デザートに60ペソのチョコムースなど口にしてここでパリの気分に浸るのも悪くない。(紀)

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