ハロハロ
ホントか、と「眉つば」ものの大統領選だった。投票日当日夜には大勢判明?まさか、そんなにうまくいくのかと半信半疑。直前には自動読み取り機の不具合も伝えられた。2001年からフィリピン報道にかかわってきたが、04年大統領選のていたらくに、この程度の国なのか、と大いに落胆させられたからだ。
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04年は野党連合候補とアロヨ大統領が大接戦。次から次へと不正疑惑が噴出、上下両院の集計作業ははかどらず、正副大統領の当選が確定したのは投票日から1カ月半後の6月24日未明だった。あのごたごたぶりからしたら、新規導入の電子投票もトラブル必至と思ってしまう。当日夜、拍子抜けするほどすんなり、当確が判明したのは失礼ながら想定外だった。汚職フリーが売りのアキノ氏の圧勝は、国民の多くがアロヨ政権下の選挙不正疑惑や汚職まんえん政治を断罪したと言えそう。
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「ハロー、ガルシ」と中央選管委の1人にかけた大統領の電話の中身が、05年に暴露されたのが選挙不正疑惑の端緒。以後、弾劾告発が続き、それを力でつぶしてきた。「不正」のにおいぷんぷんの上、世界的不況も相まって、国民のリーダーに対する不信感は増幅。まともな統治ができる状況ではなかった。新大統領は「失われた6年間」を失地回復し、比をアジアの同盟国と肩を並べる水準に立て直すのが使命だろう。(紀)