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4月27日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 619字|2009.4.27|社会 (society)|ハロハロ ]

 産婦人科の専門医、太田靖之医師は昨年、実に十四年にも及んだ裁判の末、比での医療活動を認められ、医師免許交付を受けた。作家でもある太田医師は、自らが身を置く医療現場を舞台とする作品を発表。その最新作が、日本の産婦人科医不足が招く危機的実態を取り上げた「産声が消えていく」(祥伝社)だ。同書の中で太田医師は、若き産婦人科医を主人公に、医師不足の厳しい状況下、理想とする医療活動に体当たりで取り組む姿を臨場感あふれる筆致で描く。

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 新しい生命誕生の周辺で繰り広げられる人間ドラマに感銘、一気に読了したその翌日、一通のメールが届いた。東京で暮らすインドネシア人夫妻が第一子をめぐる近況を伝えたもので、「(ジャカルタの)両親とも相談し、東京で産むことに決めました」とあった。決心を促したのは「日本の医療体制の良さと費用の問題」、これに加え「航空機を使った往復での影響」などと書き添えられていた。

 「八月中旬」としか記されていなかった出産予定日にも目が止まった。インドネシア人にとりこの「中旬」が大きな意味を持つからだ。日本軍が連合軍に無条件降伏した「一九四五年八月十五日」の二日後の「十七日」、スカルノ初代大統領が独立を宣言した。インドネシアは約三百年間のオランダ植民地支配、続く日本軍政のくびきから解放された。「八月十七日」こそ国民が最も誇りとする日なのだ。友人夫妻は第一子の「産声」をこの日に期待していることだろう。(道)

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