ハロハロ
[ 541字|2009.2.9|社会 (society)|ハロハロ ]
一月下旬の平日、学生時代の悪友どもとの月一飲み会まで時間があったので銀座から有楽町へ歩いた。都営三田線に乗り継ぐためだ。何年ぶりかでプランタンの喫茶「アンジェリーナ」をのぞいたら、一階表通り沿いの店は二階に移っていた。名物のモンブランにドゥミが。大きめの名物ケーキを半分の大きさにした品ぞろえは時代に対応したものか。女性客が入店待ちをしている風景も相変わらずで、不況?と思ったぐらいだ。
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三田線日比谷駅地下通路脇の喫茶店に入った。見ると、通路反対側に柄物のスポーツシャツに黒のチョッキを着たこぎれいな五十歳ぐらいの男が正座している。五十センチほど先に紙コップ。男はカジュアルスタイルのサラリーマン風だ。にわか物乞(ご)いらしい。通行人は見向きもしないで忙しそうに通りすぎてゆく。
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中年女性が一人、引き返してきて、何枚かのコインを手渡した。男は頭を下げて金を紙コップに移した。しばらくして中年の男が財布から紙幣らしきものを取り出して紙コップに。へえ、千円はずむ人もいるんだ、と思ったら、違った。男がコップからつまみ上げたのはポケットティッシュだった。こんな場所で会社員風が物乞いとは。さきほどの光景が暗転した。間違いなく不況が進行していると思い知らされた。(紀)