ハロハロ
東ティモールは二〇〇二年の独立と、東南アジア域内では最も若い国。天然資源は乏しく、地理的条件に恵まれず、独立後も経済開発に苦労している。その中で政府が国の将来を託すのが若い人材。
そんな期待のかかる東ティモールの若者二人から最近、相次いで朗報が届いた。二人と出会ったのは、インドネシア支配下にあった東ティモールが独立に向け、最大の試練に直面していた一九九八年のこと。
その一人、C君とはディリ(現首都)で取材中に知り合った。語学が得意のC君は当時、インドネシア国軍に壊された民家の屋根にビニールシートを張った即席教室で、子供たちに英語を教えるボランティアに励んでいた。
その後、日系メディアの英文記者となったC君からの電子メールには「一月五日に第二子誕生」とあり、男児に続いて女児を授かった喜びがつづられていた。
もう一人のT君と出会ったのはシドニー市内の劇場。東ティモールを主題にした演劇を見に行った際、たまたま隣の席に座ったのがT君だった。
高校の時から祖国の独立運動に参加。インドネシア軍の迫害を逃れてポルトガルに渡り、さらにオーストラリアへ移住した「苦労人」。メルボルンのカトリック系大学を卒業し、独立後にディリへ戻った。
今は国際NGOで児童教育部門の責任者として大活躍。届いたメールは「母は健在」「七月の挙式に向けて準備中」と、うれしい近況を伝えてくれた。
進む道は違うが、二人とも祖国に根を張り、将来をしっかりと見据えている。(道)