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10月6日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 630字|2008.10.6|社会 (society)|ハロハロ ]

 昔話になる。ジャカルタに赴任したのはもう三十年近くも前のこと。右も左も分からぬ異国の地で、仕事や家族を親身になって助けてくれたのが現地の雇員たち。多民族国家・インドネシアを象徴するように、雇員三人はいずれも出身民族が違っていた。一人は温厚なジャワ人(ジャワ島中部)、もう一人は積極果敢なバタック人(スマトラ島北部)、残る一人は緻密さを備えたスンダ人(ジャワ島西部)。

 駐在を終えて帰国した後も、一緒の写真を眺めては、楽しかった日々を懐かしみ、同時に、機会をとらえては同地を何度となく訪れ、三人とは旧交をあたためた。しかし、寂しいことに、それが一人、続けてもう一人が世を去り、残ったのは運転手をしてくれたスンダ人のみとなった。

 約四年前のジャカルタ訪問時にその彼と再会、取材約束を取り付けていた著名作家宅へ同行してもらった。道すがら、彼の運転で遠くはジャワ島の東端まで出張取材した駆け出し外信記者時代の思い出などを懐かしく語り合った。

 その後も健勝と聞いていたので、まさか、このマニラで彼の訃報に接するとは、想像もしていなかった。病死の突然の知らせは、イスラム教の断食月明けを翌日に控えた夜に届いた。イスラム教徒の彼は当時、断食月も一週間が過ぎたころには、両ほほのこけが目立った。それでも長時間で不規則な仕事に付き合ってくれた。間違いなく、アッラーの元へ行けたと思っている。 (道)

ハロハロ