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3月24日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 594字|2008.3.24|社会 (society)|ハロハロ ]

 「時」にまつわることわざ、格言は数多い。インドネシア人の間で頻繁に登場するのが「ジャム・カレット((jam・karet)」。ジャムは「時(間)」、カレットは「ゴム」。想像をたくましくするまでもなく、「時間はゴムのごとく伸縮自在」がその意味。約束の時間に遅れた際、言い訳の常とう句だ。

 「時」にまつわることわざ、格言は数多い。インドネシア人の間で頻繁に登場するのが「ジャム・カレット((jam・karet)」。ジャムは「時(間)」、カレットは「ゴム」。想像をたくましくするまでもなく、「時間はゴムのごとく伸縮自在」がその意味。約束の時間に遅れた際、言い訳の常とう句だ。

 二月末の夜、電話で話しただけの若いインドネシア人夫妻と落ち合うことになった。そこへ向かう電車内で一瞬、「ジャム・カレット」が頭をよぎった。だが、約束の時間より七分早く着くと寒風が吹く中、若い二人が約束場所の改札口前で待っていてくれた。「私はジョコです。これは妻のディンダです」。一通り、初対面のあいさつを交わした時には親子ほどの年齢差もどこへやら、数年来の知己のような親しみをおぼえていた。

 夫は都市環境工学を学ぶ東大大学院生、慶大卒の妻は日系企業で働く情報エンジニア。美男・美女で、絵に描いたようなエリートカップルだ。食事も終わりに近づくと、夫妻が「これから仲間の誕生会に一緒しませんか」と誘ってくれた。タクシーで十分、着いたのは在日二十五年というインドネシア人夫妻の家。約二十人が奥さんの手料理を囲み、談笑していた。その時、イスラム教女性のスカーフ姿の奥さんが近づき、「まだ十人は来るはずなの。ジャム・カレットね」と話し掛けた。インドネシア流のおおらかな時間が流れていた。(道)

ハロハロ