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11月20日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 586字|2006.11.20|社会 (society)|ハロハロ ]

 大学時代の友人がマニラを訪ねてきた。四十年以上も前、バンカボートに付ける舶用エンジンの部品を輸出する商売をしていた。「そのころ常宿にしたホテル界わいを再訪したい」と言う。そのサンタクルス教会裏手は今も機械・部品の問屋が軒を連ねていた。しかしエンジンの代わりにジュークボックス屋が多かった。タグで仕向け地を見ると、サンボアンガやクラークとあった。訓練などに来る米兵の客用だろうか。

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 友人の話。太平洋戦争末期、フィリピンに再上陸した米軍は数万隻の上陸用舟艇を持ち込み、戦争が終わるとエンジンを払い下げた。その後、朝鮮戦争で日本に同じエンジンの修理基地ができ、部品を作るノウハウが日本に残った。フィリピンには部品を仕上げる素材も技術もない。エンジンが古くなって大量の修理需要が発生した。友人は頻繁にマニラに通って注文を集めたのだそうだ。

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 細い路地に並ぶ屋台には旬のランブータンや「フジ」と称するリンゴが山と積まれている。道ばたで鼻毛を抜く風景は華人の街ならでは。路地の奥にそびえる高層ビルがかつてのホテルだった。友人が通っていたころ、日本にはまだなかった展望台レストランも残るが、今は使われていない。昔通りなのは下のSMモールだけとか。「ここで食べたアイスクリームは最高だったよ」と友人が懐かしんだ。比・米・日関係史が走馬燈のように浮かんだ。(水)

ハロハロ