ハロハロ
[ 520字|2006.7.31|社会 (society)|ハロハロ ]
靖国参拝をめぐる昭和天皇の発言を記録した富田元宮内庁長官メモの存在を伝えたニュースは、驚きだった。天皇はA級戦犯合祀(ごうし)を遺憾とし、松岡元外相や元駐伊大使などの実名を挙げて「靖国不参拝」の心情を披歴している。昭和天皇が七〇年代後半から靖国参拝をしなくなった根拠が、断片的メモとはいえ初めて明かされたのだから、ズシンと重い。
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民放の世論調査でも、この報道後、首相は「靖国参拝をすべきでない」が六〇%台に乗るという変化が現れた。メモは、一九八八年四月の天皇誕生日前に行われた宮内庁記者会との会見後のものとされている。昭和天皇は前年九月、病に侵されて開腹手術を受けられた。八八年九月、再び病床に伏し、翌八九年一月七日、亡くなられた。この記録は最晩年、信頼する長官に打ち明け話をされたと受け取れる。
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とはいえ、靖国参拝問題にケリをつけかねないこんな重大メモが、自民党総裁選目前の「今、なぜ」と、いぶかしむ声も聞こえてくる。ニュースは日経のスクープ。業界事情でも、きわめて好タイミングだった。七月は新聞協会賞の応募締め切り時期。九月には決まる。終了ゴング寸前、強力パンチが放たれた感じだ。今年の新聞協会賞はこれで決まりか。(紀)