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7月10日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 433字|2006.7.10|社会 (society)|ハロハロ ]

 タクシーの「可倒式メーター」が主流だった十年ほど前、マニラ市内で車を拾った。到着時の表示は確か「百」足らず。百ペソ紙幣を差し出すと、「ペソはいらん。ドルだ」と真顔で運転手。「わたしの給料はペソ払いでドルはない」などと運転手を説得し、何とか表示額の一・五倍ほどを払って切り抜けた。

 メーターがデジタル式に変わっても、この手の雲助タクシーはしぶとく生き延びている。先日も在留邦人の知人が、通常より速いペースで料金が加算されるインチキメーターに気付き、運転手と「払え」「払わん」の押し問答になった。車外での口論の末、運転手は知人の顔を一発殴って去っていったという。

◇ 

 危ない話だと思った。運転手は恐らく不正に家族の生活を懸けている。強盗対策で武器を隠し持っている運転手も多い。「不正を正す」と放った言葉が心の琴線に触れ、刃物で一刺しという事態もあり得る。最近、比人の顔に紙幣を投げ付けて刺殺された日本人男性も無意識のうちに琴線に触れてしまったのだろう。(酒)

ハロハロ