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6月19日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 540字|2006.6.19|社会 (society)|ハロハロ ]

 一緒にサークル活動をしていた仲間の一人が今年三月、突然田舎に脱出した。定年を機に山梨県・山中湖近くの別荘地に住宅を新築、「終の栖(すみか)」と決めたという。知り合いの先輩のように海外に移住するわけではないが、身近な仲間の行動にみなが驚き、心配もした。買ったばかりの新車を寒冷地用の四輪駆動車に買い換えるなど一年前には全く考えもしなかった決断だったという。

 郵便受けに毎日、投げ込まれるフリーペーパーなどを見ると、定年後の田園生活の紹介記事がやけに目に付く。インターネットのHPにも成功例や失敗談などがにぎやかだ。ある体験者は、田舎暮らしの良い点として「自然、触れ合い、野菜、時間」。悪い点として「交通機関、職、習慣」をキーワードに挙げていた。実際、住んでみると、現実は厳しいと指摘する人も多い。

 脱出した仲間の住みかは、富士山が眺望できる造成地に建てられた。海抜が高く、冬は氷点下三〇度にもなるとか。窓はすべて二重の特殊ガラスで仕切られ、床下は積雪対策でコンクリートの土台が最大二メートル近くもある。動物好きの夫婦は、飼い犬が元気になったのとリスやシカが時々、庭先に姿を見せるとご満悦だった。「ケ・セラ・セラの人生だよ」。笑って語る夫妻の行動力はうらやましい。(富)

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